和桜

リベリアの白い血の和桜のレビュー・感想・評価

リベリアの白い血(2015年製作の映画)
3.7
日本人監督が撮るリベリア移民の物語。
二部構成の前半はゴム農園での労働環境を映し出し、後半は自由を求めてアメリカへ渡る移民生活が描かれる。
ゴムという生活必需品を通して自分たちは繋がっている以上、無関係の物語ではない。
自由を求めながら過去の亡霊に見つかり、囚われた末のラストはなかなか。逃げた先でも何故逃げないのかと問い返される場面が印象的だった。

何故日本人が?と調べていたら、監督の「日本人がリベリア人を撮影するのではなく、同じ人間を描くのだということを常に意識していた」という言葉にハッとさせられた。序盤の盗み撮りみたいな違和感から、徐々に等身大の姿を捉えていく演出にも納得。観た後に意味が分かる邦題も地味に良い。

DVDだとドキュメンタリーも同封されていて、こちらはかなり緊張感のある物となっている。この映像を撮影した監督の義理の兄弟は取材中にマラリアで亡くなっていて、そのことがこの作品に与えた影響も大きいんだろうな。
こういった作品を日本人監督が撮り、各地の映画賞をとったというのは本当に凄いし、後続の人たちが出てきたりすると嬉しい。
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