銀幕短評 (#186)
「バリー・リンドン」
1975年、イギリス、アメリカ。 3時間 5分。
総合評価 23点。
あの巨匠の映画は、平成30年間 わたしの最後のクリスマスを飾るにふさわしいもの、では果たして決してなかった。。
いまから300年ほど前の欧州で、アイルランド出身の男が、財と地位を求めてあれこれと遍歴するはなし。
スタンリー・キューブリック監督、ライアン・オニール主演。アカデミー、撮影賞、歌曲賞、美術賞、衣装デザイン賞を受賞している。
この映画が伝えたいメッセージは わたしにはサッパリ キッパリ分からないが、金銭的・功名的な成り上がりを求める点では、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(#181、90点)のエネルギー感に到底かなわない。バリーは数奇な人生をたどるが、他力に翻弄されている感が強く、外見的にはともかく 内面がしあわせなようには まったく見えない。つねにこころ落ち着かず いまを楽しめていない。
カメラはいい、ロケ地や衣装、道具もいい。お金がかかっている。が、芝居と演出がいかにも控えめなままで3時間も引っぱるのは 作り手の独善で、全体を2割くらいは刈り込めたのではないか。インターミッション(中休憩)があるのは買いだが。ピアノと弦の音楽 はとてもいい。
いちばんの問題は、そもそもの主演の配役ミスのようにも思える。この 2年前に「ペーパー・ムーン」(#176、82点)でヒットを飛ばしたオニール父だが、ちょっと演技が足りないな。ここは メル・ギブソンを投入すべきだったろう(時代は合うのか?)。
さあ、平成最後の年末だ、いい映画で締めくくりたいなあ。