おのちん

T2 トレインスポッティングのおのちんのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
2.8
過去の栄光にすがって生きるしかない悲しさ。

年を取るとはどういうことか、とか。人生の落とし前はどうつけるべきか、みたいな映画。

仲間を決定的に裏切ったユアン・マクレガーが、20年ぶり(原作では9年ぶり)にこの街に戻ってくるということは殺されるかもしれない訳で、それ相応の動機なり帰ってくる大きな理由が必要なので、まずストーリーの滑り出しでそれがどう描かれるかなと興味ありましたが、人生がうまくいかなくなったから…っていう理由で、ちょっと釈然とせずがっかり。

自分の好みの問題かもしれないけど、パート1とくらべて選曲のセンスが激烈に落ちた気がしてそれもマイナスポイント。なにかとHigh ContrastのShotgun Mouthwashを流してましたが、パート1ってそんな風な曲の使い方してましたっけ?Lust For LifeにしてもBorn Slippyにしても、もっと効果的な使い方をしてたような記憶が。

ベロニカ(いいキャスティング!)も言ってましたが、みんな昔の話しかしないし、楽しかった青春時代という過去に未練たらたらだし、「未来を選べ」なかった大人たちの末路をこれでもかと見せつけられて身につまされました。なんとか未来に希望らしいものを見出せたのはベロニカに文才を気付かされたT2の影の主人公スパッド(原作者のアーヴィン・ウェルシュ自身の投影?)だけ。

そして、このT2という映画自体がパート1へのオマージュ満載でダニー・ボイル監督(というかアーヴィン・ウェルシュ?)自身も「過去の栄光」にとらわれているのでは?というメタ構造。でもクルマの屋根から転げ落ちたユアン・マクレガーがボンネット越しに不敵に笑うシーンは好きでした。

パート1が好きなのでT2はかなり期待してたのですがフィルマ平均は4.0にもかかわらず、みなさんと違う評価になってしまいました。

2018.6.7
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