原作未読のため原作との比較は出来ないけど、家族を失った子供が1人この世界を生きていかなければならない。という話に輪をかけて、プロ棋士として相手を倒しながら生き残り、そこからさらにのし上がっていくという重厚なストーリーを誰一人文句のつけようのないまさにベストチョイスのキャスティングと演出、そしてキャストの人間味溢れる芝居で魅せてくれた。
キャストはみんな良かったなぁ。神木隆之介はもちろん豊川悦司、伊藤英明、高橋一生、佐々木蔵之介、加瀬亮。
シナリオ・演出の手法として加瀬亮演じる宗谷冬司だけはモノローグを廃し、常にミステリアスな人間像のまま描き切ったところも孤高の天才ぶりを感じさせてくれて良かったと思う。
そして実はちょっと心配していた有村架純ちゃんもストーリーを活性化させる、重要でちょっと今までとは違うキャラクターを素晴らしい演技で果たしていた。
将棋というモチーフのためかどうしても動きが出しにくいところを逆手にとって、対局シーンでは盤を挟んだ名優たちのバストアップにモノローグを乗せる事で緊迫感とダイナミズムを出していた。
ストーリーの感想としては主人公の家族との話の部分は有村架純ちゃんのあまりにキツい接し方に見ていて辛くなることもあったけど、人と人とが関わり合って生きていく様を垣間見ることが出来て、少し救われるような気持ちにもなれたし、将棋の部分では棋士の一人一人がその世界で勝ち上がる事に命を削りながら戦っていく熱い人間ドラマが見られて大満足でした。そう、人生も将棋も常に上手くいかない。どんなやつでも生きていくのに必死なんだよね。
勝手にもう少し青春モノっぽいノリを想像していたけど、そこは嬉しい誤算だったかな。
強いて不満があるとすれば劇中の音楽が少し浮いていたような…まぁ、そのくらいの事は置いておこう！笑
ストーリー概要の説明や人物紹介、そして今後盛り上がっていくための種まきは上手くいっていて、映画の前編としての作りは完璧だと思う。後編でのさらなる盛り上がりに期待してます！
