背骨

ドロステのはてで僕らの背骨のレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
4.1
2分先の未来が見えるようになった事を悪用したしょうもない企みが予想もしなかった未来を巻き起こす…

「1階と2階のモニターが繋がって2分先の未来が見えるようになる」

それだけのSF設定なのに、そこから先、登場人物たちのアナログな創意工夫だけでこっちの理解が追いつかなくなるくらい飛躍していく展開が凄い

そして、もっと凄いのはドロステ効果を変化させることで複雑化していく世界がわからなくなっても誰も置いてきぼりにしない脚本

映画『メッセージ』というか、その原作の『あなたの人生の物語』にも通ずる「未来が見えてしまうことによる〈自由意志と決定論的思考のせめぎ合い〉」をチラつかせつつ、あくまでコメディとして観客を楽しませ続けるストーリーテリング

上田誠さん、今年でいうと『前田建設ファンタジー営業部』も良かったですし、演劇だけじゃなく映画の脚本もスゴい、天才だと思いました
『ペンギン・ハイウェイ』も素晴らしかったですし、この『ドロステ〜』もそれらの映画に勝るとも劣らない傑作だと思います

『ラヂオの時間』とか最近なら『あの日々の話』みたいなワンシチュエーションコメディが好きなら絶対ハマるんじゃないでしょうか(ラストもう一捻り欲しかったけど…それは贅沢というものか)

映画の作りとしてヨーロッパ企画なのでスゴく演劇っぽいんだけど、よく考えてみるとどうやっても映画じゃないと出来ない組み立てなのは面白い

そのあたりは映画を観た人だけの特典映像を見るとよくわかります

映画の出来上がりとしてはワンカット風の仕上がりになってるんだけど、事前に舞台のような通し稽古をしつつ、かなり細かくシーンごとに芝居やカメラの繋がりに気を使いながら撮ってました

なかなか興味深いメイキングだったし、映画を観た人なら楽しめるものだと思うので、観賞後に見てみることをオススメします。映画がもっと面白く感じられるかもしれません



…大事な事を言い忘れました

朝倉あきさんが可愛いです。客演てことになるのかな…とにかく朝倉あきさんが可愛いです

朝倉あきさんが元カレの話しをしだした時、なぜか切なくなりました。朝倉あきさんがあまりにも可愛かったのできっと恋をしたのだと思います。主人公のカトウと同じように…
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