背骨

TENET テネットの背骨のレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.2
途中までは「?」だったけど、伏線回収が始まる中盤からストーリーの全貌が見えてきて、後半のアクション展開は一気にアツくなる。

「時間の逆行」というギミックがストーリー展開上で我々にもたらされる驚きとエモーションに繋がっていて、娯楽大作としての仕上がりは間違いなく及第点以上。

解説・考察等を読みあさった上で、細部を確認しながらもう一回観たい。全てを理解した上での2回目はもっとアツいと思うので…



2回目を観ての感想を追記
ー以下ネタバレありー



自分がこの映画を好きなところは《時間の逆行》という超SF的モチーフを使って起きる出来事が、彼らの生きる目的を作り、彼らの一番近い人を守ろうとする行動が同時に人類をも救うというミニマムでマキシマムな展開であり、そんな『インターステラー』を想起させるような、まさにノーランの集大成的映画だから。

名もなき男とニールがこの先に起きる苦難と結果を自分の運命として受け入れつつ別れていく(出会っていく)スタルスクでのシークエンス。

高慢でいながら実は弱い人間だったキャットが子供のために生きる覚悟を決め、ラストで見せる力強くも柔和な表情。

みんなの目を引く一見派手なギミックがエモーションへと繋がり、最終的には運命論や人生観のようなものを観客それぞれに残してくれる。

同じく結果を知りつつ、運命を受け入れる『メッセージ』を撮ったヴィルヌーヴとの対比も面白い。

「人生は死という結果ではなく生きるプロセス」だとしたヴィルヌーヴと、「死という結果すらも自身の生きる目的であり、運命」だとしたノーラン。その作家性の違い、それぞれの運命論。
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