矢吹

オールド・ジョイの矢吹のレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.2
悲しみは使い古した喜び。
夢でみたのちの、デジャブ。啓示だっけ、野火。
きっかけというかは、答え合わせの過去ですが。
映画は、電話と瞑想の都会と自然の対比から始まったのよ。
そして、いや、都会も自然も同じだという意見の対比。があって
お前もきたらよかったのに、に現れる、もう違う2人の世界。
リズムを変えて生きていく、という息子が生まれる男の話と、誰が誰とヤったか、でもりあがる男。時間が生み出した2人の間のすれ違いというか、ね。これさ。な。
悲しすぎるよこれ、使い古いされた喜びすぎるのか。どっちが悪いとかじゃないからこその音のない不協和音。
助かったのは、犬がいい、男2人と犬のテント。犬いてよかった本当に。

おそらく、ケリーライカートthe見たことのない土地を懐かしくさせられる感じ。そしてその地元を嫌うところまで共感に持っていってくれる感じよ。郷愁の音楽と無音楽のコンボ。
ラジオから流れる政治の話。大きく見たインフレと家計簿の、りある。
そして、登場人物たち、これ聞いてないと思うんだ。流れていく日常の、流される、無視するための音。という、だとしたらこのカッコ良い添え方、たまんないよね。
無視する聞かせるためのラジオ、聞きに行く生きるための風と鳥の囀り。

彼らはお互い、もう会わないと思う、
この友情故の、友情にのみ許される、切なすぎるラブストーリー。過去の自分らとの、さよなら。
そして、優しさに見ていたはずの中で、まったくもって時を同じくして、サスペンスの未遂、緊張感は常に熟されていた。
殺されても殺してもおかしくないという、サスペンス、なにこれ。
お金渡すのも間違いなくそう、一回断ってね。
愛憎は表裏一体とは当たり前なのだけど、こんなにさりげなく、しかし、明確に描かれて然るべきなんだなと、言うね。未遂だから、なんとも微妙な、この後味の悪さがこの作品には全体として、何も完結せずにしかし、進み続ける時間の象徴なのであるのかも知れぬのさ。

電話をしてるのを見る後頭部と
温泉の中で聞くあの顔、なんなんだろう。すごすぎた。
隣に座らざるを得ない車も、縦並びで向かう目的地への徒歩も、信じているよ。の対面も素晴らしい距離感。だったなあ。だったよなあ!
矢吹

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