さりさり

彼らが本気で編むときは、のさりさりのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
4.0
リンコが神だった。
と言ってもいいくらい素敵な女性だった。
見かけが綺麗とか、そういうことじゃない。
気持ちが、心が、美しかった。
リンコの優しさと繊細さに私も惚れた。

これまでの人生、どんなに悲しく、どんなに悔しかったことだろう。
特に、性に目覚める思春期。
彼の異変に気づいた母。
その母と子の会話に泣いた。

「彼」から「彼女」になった時、本当の意味で「女神」になったんだろう。
辛い思いをしてきた人は、辛い人の気持ちが心からわかるんだって、そう思った。

*****

今まで荻上直子監督作品は苦手なものが多かった。
『めがね』『川っぺりムコリッタ』ことごとく撃沈で、評価の高い『かもめ食堂』もあまり好きではなかった。
その話をしていたら、フォロワーさんに『彼らが本気で編むときは』は良かったですよ、と聞いて、苦手意識を消して観てみることにした。
苦手だった独特の空気感や、イラッとする “間” もなくて、サラッと観られて気持ちが良かった。

ただ、どうしても気になったのは、リンコの仕草だ。
「体は男・心は女」の人は、みんなあんな感じの仕草なんだろうか。
妙にナヨナヨして、女っぽさを強調している。
普通、女の人ってあんな仕草しないよね。
もっとサバサバしてアッサリしてる。
リンコのナヨナヨ加減がどうもわざとらしく、性同一性障害ではなく、ただのオネエに見えてしまった。
なんか違うんじゃないかなぁ。
実際にトランスジェンダーのかたとお会いしたことがないので、よくわからないけど。

それに終盤で「は? こんなん実際にやる?」っていうシーンが出て来て、一瞬萎えた。
『川っぺりムコリッタ』の時もそうで「いや、それ絶対ありえないでしょシーン」にガッカリした記憶が甦った。
今回もあの情緒的(?)なシーンに逆にあざとさを感じて、私はそのシーンだけ生理的に無理だった。
ほんの一瞬のシーンなんだけど。
あれさえなければ◎な作品だったのに、やっぱり荻上監督は肝心な所でハズすよな、って思った。

(あくまでも私の個人的な感想です。後半、辛口で申し訳ないのですが、レビューは個人的に大事な記録なので正直に残しておきたくて書きました)

でも結局泣いたんだけどね。笑
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