亘

オクジャ okjaの亘のレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.8
2007年アメリカのミランド社は新商品スーパーピッグを発見、子豚を各国に分け10年後の商品化を決めた。10年後韓国の山奥に暮らすミジャのスーパーピッグ:オクジャが引き取られる。企業や大人たちを振り切りミジャは親友オクジャを連れ戻す旅に出る。

山奥に暮らす少女オクジャがソウル、ニューヨークという大都会で奔走する冒険物でありつつ、食料問題・動物愛護・資本主義といった現代の問題を扱った社会派作品でもある。シリアスな題材を扱いながらも前半は美しいまるで昔話のようなファンタジーで中盤からはアクションコメディのような展開になって見る側を引き付ける。それでも終盤は残酷な現実を見せつけてきて問題について考えさせられる。

素朴で純粋なミジャは山奥でおじいさんと昔話のような自給自足の生活を送っている。オクジャとは4歳のころから一緒に遊んでいて親友。冒頭は非常にのどかでミジャも無邪気。ミランド社の人が来ても楽しそうに笑っている。でもミランド社の社員はスーパー・ピッグ計画の遂行しか頭にないし実はおじいさんもそれに協力している。これはミジャにとって初めて見る大人の悪い面だったに違いない。

この作品で重要な役割を担っているのが動物愛護団体ALF。彼らはミジャの味方ではあるんだけどスーパー・ピッグ計画阻止にオクジャを利用しようとしてミジャを結果的にだましたりソウルとNYの街中でテロを遂行したり完璧に正義とも言い切れないような気がする。

それでも最終的にはオクジャを開放できたしのどかなシーンで終わる。とはいえ屠殺場から連れ出せたのはオクジャと子豚だけで製品は販売されたし、その解決方法も結局資本主義的な方法だったしどこかすんなりいかない。おとぎ話のようでありつつも現実を見せられるような作品だった。

印象に残ったシーン:ミジャとオクジャが山で遊ぶシーン。ソウルでミジャたちが逃げ回るシーン。コンテスト当日のテロシーン。屠殺場のシーン。ミジャとオクジャ、子豚がのどかに暮らすシーン。​
亘