へたれ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのへたれのレビュー・感想・評価

4.5
こうした地味で丁寧な映画をハリウッドがまだ作れることが嬉しい。

良かったとこ1。プロットのきめ細やかさ。
序盤から、嘘臭い話がまるでないと共に、説明がほとんどない大胆なフラッシュバックの数々。どのシーンもダレない程度の長さで、人物の性格と関係性を過不足なく描いていた。

良かったとこ2。ほろ苦い笑いの数々。
全編を通すテーマは、他人や自分自身を許すことの難しさや、閉鎖的なムラ社会の中でやり直すことの難しさ、と重いものの、うっすらコメディテイストのおかげで観やすい。救急車にストレッチャーの車輪が引っかかってなかなか乗らないシーンは、悲劇そのもののエピソードに情けなさが加算されて、悲劇性がさらに増している好シーン。

良かったとこ3。ケイシー・アフレックのぶっきらぼうぶり。
コミュ障になってしまった男と社交性の塊のような甥っ子の疑似父子関係というストーリーだと分かっていてもなお、ケイシー・アフレックの心の閉ざしぶりは見事。

良かったとこ4。天候。
甥っ子とのシーンは晴れが多く、ケイシー・アフレックが一人のシーンは大体曇天。回想シーンでは雪混じり。そこに映っているキャラクターの心情に合わせたような天候。

残念だったとこ。宣伝ポスター。
ポスターを見て予想するほど、ミシェル・ウイリアムズの出番はない。時間的にも物語的にも。
へたれ

へたれ