えむえすぷらす

ウインド・リバーのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
5.0
州の有害獣駆除の仕事をしている主人公の家族関係の違和感から徐々に過去に起きた事が明らかになり、その間に新たな事件が起きてFed’sの登場しつつ主人公との事件の関わりの深さから新たな事件の追跡と主人公の周りで何が起きたのか明かされていく。

監督・脚本はテイラー・シェリダン。あのボーダーラインシリーズの脚本家です。なお監督デビューは「BOUND9」(監督のみ)で本作が2本目でした。音楽は「ボーダーライン」のヨハン・ヨハンソンの作風を想起する低音の使い方があるもので零下20度という凍てついた世界に合っている。

主人公はハンターだと言い切る。凍てついた世界で生き残るには強さが必要だと言う。劇中で意外な人物が登場するのですがニューヨークなどよくないみたいな事を言う。何もない世界で酒やドラッグに頼らずとも生きていける人だけが生き抜ける非情な世界。

彼には過去の出来事との相似、そして娘の親友だった子の為という動機があった。でも彼は自身をつなぎ止める鎖を持った猟犬でもあった。
最後、彼だけの判断では動いていない。彼にそうして欲しいと願う人がいて彼に願った事で行動に移し因果応報に基づいて実行した。

終わってみると法律が押し流されている。でもそれに対して間違いだと言う気になれないだけの説得力を持っている。鮮やかなシーン転換も入れてきていて豊かなストーリーと相まって考えさせられる作品に仕上っていた。

追記:字幕に「ポイント・ムグ」なんて出て来ましたが「Point Mugu/ポイント・マグー」が一般的なカナ表記です。海軍基地の名称で海軍航空に興味がある人なら知っているメジャーな基地名の一つ。