岡田拓朗

帝一の國の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

帝一の國(2017年製作の映画)
4.0
帝一の國

原作未読。
地上波で放映していたので、後追いで鑑賞。

権力闘争や裏の攻防、めんどくささ、難しさ、醜さなど、政治ならではの様々なことものが、政治そのものでなく、生徒会において描かれることによって、敷居を低くし、さらには社会風刺を絶妙にコメディな形に仕上げていく発想と展開が個人的には衝撃で、かなりおもしろく楽しめた。

「社会風刺こそがエンターテイメントを生み出す」ことは、直近だとお笑いの世界でもウーマンラッシュアワーの拡散されていた漫才がそうであったように、タブーとされながらも徐々にまた息を吹き返して来てる感はあるが、相当レベル感や完成度が高く、わかりやすくないと確実に大衆受けは悪くなることが予想される。

大事なのはわかりやすさだったが、今作はそこがズバ抜けでよく、完全なるエンターテイメントの形として作品が成り立っていた。

今作では、政治において裏側で行われていること、勝つために手段を選びすぎない姿勢、親が子に夢を託しそれが度を超えることで子が自分の人生を歩めなくなる問題など、様々な政治的、社会的問題を風刺して笑いに変えながら、最後に然るべき人が勝ち、然るべき人が徹底的に負け、然るべき人が上手にその場をやりくりして回していくような構図に落ち着かせることで、作者なりのこの問題、風刺に対しての答えを出しているようであった。

生徒会長における選挙を軸にではあるが、実際の大人の世界による政治のあれこれが時折見られたり、なぜそれぞれが今においてその行動や言動をとるのか、態度や性格なども含めて、過去も反芻されながら展開されるので、そこに納得度合いも生まれるし、展開としては申し分ない。

さらに、世間から見る徹底的に良いやつと徹底的に悪いやつを対立させ、その狭間にいる良いやつと悪いやつの丁度狭間くらい(正確に言うとどちらの側面も持っている)の赤場帝一(菅田将暉)を主人公とすることで、今作はさらに深みが出るおもしろさに仕上がっていると思う。
赤場帝一からの視点が絶妙に、二方向の実態をちゃんと描けていたし、どちらかの視点に偏るとここまではおもしろくなかったと思う。

基本コメディ路線ではあるが、物語が進むにつれて、徐々に人として何が大切なんだ、ということを迫ってくる今作。

何も考えずに観ても楽しめるし、考えながら観てもおもしろい!
ぜひ、政治に無関心な人ほど、鑑賞してみて欲しい作品です。

最後にこういう作品で、こんなにも輝かしいキャストが揃ったのが嬉しいし、これを機に特に人気が爆発した俳優が多いのもなんか嬉しい!

菅田将暉は相変わらずの素晴らしすぎる演技だし、野村周平も他の役と違って新しかったし、それ以外のキャストもよく、永野芽郁は彼女役を不動のものにした作品とも言える。
が、今作は竹内涼真が役に恵まれすぎてることもあり、完全に一本釣りというイメージでした。笑

P.S.
エンドロールの永野芽郁のダンス、めっちゃ癒されたw
岡田拓朗

岡田拓朗