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帝一の國のMASHのレビュー・感想・評価

帝一の國(2017年製作の映画)
3.5
公開時かなり評判になってはいたものの、完全にスルーしてしまっていた今作品。正直、この作品の脚本家は僕の嫌いな映画の脚本も担当しているため、正直観るのが怖かった。しかし、実際観てみるとまぁまぁ楽しめた。コメディとしても笑えたし、熱い青春ドラマとしてもとても良かった。

その面白さを支えているのは、やはり若手の役者たちの演技力の高さだろう。特に主人公を演じる菅田将暉の演技力は圧巻だ。笑いも感動も全力で演じ切っている。今回の彼の演技をみて笑わずにいられる人などいないだろう。彼以外の役者たちの演技もとても良く、一人一人の過剰なキャラクター性をうまく引き出している。

もちろんそれだけではない。高校を舞台とした青春映画は山ほどあるが、ほとんどが恋愛かスポーツをテーマにした作品だ。しかし、『帝一の國』は選挙というテーマである。そして、これが非常にうまいこと青春ドラマとして成り立っている。同じような映画が沢山上映される中、他の映画との差の付け方が非常に上手いと感じた。

しかし、前半の圧倒的な笑いの勢いに比べると後半はペースダウンしてしまう。青春映画の感動的な部分やシリアスを押し出そうとしすぎて、せっかくのこの映画独特な映画の雰囲気を壊してしまっているのだ。特に主人公とライバルの殴り合いのシーンはは無駄にクドかったし、その盛り上がりからラストまでが間延びしているように感じた(オチは割と面白かったが)。また、後半は主人公の帝一が選挙にほとんど関わりを持たなくなり、彼の話と選挙の話がつぎはぎ状態になっていくにもあまりいただけない。

なんだかんだ書いたものの、全体的には比較的楽しめた。ここ最近の邦画の中では一番くらい笑えたような気がする。かる〜く観るには非常にちょうどいい面白さを持った作品だ。
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