緑雨

淵に立つの緑雨のレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
3.5
モンスター浅野忠信にじわりじわりと家族が侵されていく予感が充満する居心地の悪さ。そして、彼が登場する以前から、この家族に漂う不安定さをオープニングから空気で解らせる演出の冴え。よろめく美魔女・筒井真理子、飄々とした面の皮の裏側にドス黒さを湛える古舘寛治。

浅野が常にワイシャツ姿であることが醸し出す不気味さ、そして、真っ白のツナギの上半身を脱ぐと赤いTシャツが現れることで空気を一変させる視覚的鮮烈。

秀逸な前半に比べると、後半が風呂敷をたたみきれていない印象。前半のキリスト信仰と後半の潔癖性のリンケージが弱いし、太賀の人物設定はさすがにご都合主義に思えてしまう。
緑雨

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