まりぃくりすてぃ

KOKOROのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

KOKORO(2016年製作の映画)
1.8
失敗作。
尊い主題の無駄遣い。美男美女たちの無駄遣い。御フランスの無駄遣い。断崖絶壁の無駄遣い(←東尋坊よりも恐ろしい、超贅沢な風景だったのに)。挙げ句の果ては、裸の無駄遣い。

「自殺未遂からの生き直しを助けるお爺ちゃん」「くっつく異文化」の二点は、高嶺剛監督の『変魚路』(2016年)と共通する。『変魚路』はグニャグニャ動きすぎで普通の頭じゃ追う気になれなかったんだけど、逆に『KOKORO』は硬直しすぎてダルダ~ル。

性格よさげなイザベル・カレが演じた今作の主人公アリスは、篠原哲雄監督の二級作『深呼吸の必要』(2004年)の香里奈が演じた主役と、立ち位置がそっくり。
本当のところ何の悩みを抱えてる(抱えきれずにいる)のかが、ろくに描かれておらず全然迫ってこないから、静かすぎる人物(アリスやあの時の香里奈)への好感はキープしても感情移入ができなくて観客は少し困る。問題行動とる脇役たちが濃すぎる中でね。日本に来てからのもろもろを「見てるだけっぽい時間がやたら長い」アリスを、ただただ私たちも「見せられる」だけ。
じゃあ、その「もろもろ」は? これまた奇っ怪なぐらいに歩が重い。

野球に譬えれば、“珍しいほどの采配不全による拙攻”映画ね。
スポーツの秋だから具体的に書いちゃおう。“一死一塁のまま膠着。すなわち、バントするでもなく盗塁もなくヒットエンドランの指示もないようで、打者が2ボール2ストライクからファウルばっかりを何百球も繰り返して、観客を唖然呆然とさせてる”感じ。“点取る気あんの??”
そののちに、無意味で不必要でギョッとだけさせる「風呂キス」シーンで“走者牽制死! あ~あ”。
“二死無走者の旗色悪さになっちゃったけども、それでも、先頃の日本シリーズでの内川選手みたく鮮やかなソロホームラン狙うか、またはバット短く持つなり選球眼に懸けるなりしてとにかく塁に出ようと必死”なら、まだいいんだけど、この映画はもう展開力がやっぱりほとんど機能していかず、元警官ふくめて各脇役たちの行動原理が謎なまま、、、、、、、結局、終盤の身も蓋もないクレイジーさの「ラブシーン」で“スリーアウト、敗退”!
原作がそうなのか知らないけど、同じくラストらへん、高校生がケダモノのようにシャネルにがっつくところとかは、Japonを馬鹿にしてるにちがいなくて不快だったよ。

でも、遡って前半の、コアラのマーチやきのこの山がテーブルに置かれてるところは楽しかった。きのこたけのこ戦争はまだまだ女子世界で盛んな今日この頃だけども、私は最近、たけのこ派! 特に季節限定さつまいも味のたけのこの里はヤバうまです。。。。。。