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The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのyuuuumiのレビュー・感想・評価

3.8
ソフィア・コッポラ監督作品。

1864年、南北戦争時代を背景に、『ファーンズワース女子学園』を舞台に校長のマーサ(ニコール・キッドマン)、教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)と少女達が暮らしているところに、負傷した兵士ジョンが来たことから始まる物語…。

ソフィア・コッポラ監督の世界観は、風景描写や衣装がほんとに素敵で見惚れてしまいます。この作品はポップなガーリーさは封印されていて、夜をイメージした女性目線のダークな雰囲気でした。
ソフィア・コッポラ監督自身がとてもオシャレな女性なので、そんな素敵な人が描き出す作品の映像美に惹かれます。

この学園の女性達の心を一人占めする魅力的な男性ジョンを巡って、独占欲や嫉妬や抜け駆けする女性の心理をうまく表現しているなと、美しい登場人物達がこぞって挑発していく様子に緊迫感を感じ、女性の裏の顔を垣間みることができました。女性にはよくあることだと感じます。

こっそり視線を交わすエドウィナや、積極的に挑発するアリシア(エル・ファニング)や、大人の女性として接するマーサの対立。皆それぞれ『私を選んで』という感情むき出しの態度と表情、視線がとても伝わる部分が面白い。
ジョンが側にいるだけでドキドキを感じている様子がとても伝わる、この3人の女性が一人の男性を射抜く目線が鋭く突き刺さります。

一人の女性を愛してるといいながら、他の女性の誘惑に負けた代償から一気にサスペンスに転じていきました。
マーサの決断が恐ろしくもあり、このような出会いのない境遇に身を置き、嫉妬や欲望を感じながら、戦争に出兵している大切な人の帰りを待つだけの日々での生活ならではの出来事だったのかなと、このダークだけど、美しい世界観を作りだしたソフィア・コッポラ監督作品を楽しめました。

この作品、1971年のクリント・イーストウッド版で映画化されているらしく、そちらは男性目線で描かれているそうなので、いつか観てみたいです。
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