ひでやん

獣道のひでやんのレビュー・感想・評価

獣道(2017年製作の映画)
3.4
孤高アナンダ七変化。

幼い頃から母親の愛に飢えていた少女、愛衣。新興宗教にはまった母親により宗教施設に入れられ7年間世間から切り離される。富士山麓の教団施設っていえばあれか?完全にあの宗教だよな…この作品、実話ベースってのが凄い。で、施設を出たあと自分の居場所を求めて転々とする悲しい物語だが重くない。重くないがブラックだ。青春映画の真逆を行く黒春映画だ。

神に祝福された特別な子、黒髪女子高生、金髪ヤンキー、いい子、キャバ嬢、デリヘル嬢、アナンダとなる七変化は見応えあり。体を張った伊藤沙莉はハマリ役だった。大人たちの都合に振り回されながら居場所を探してもがいているのに、それぞれのステージがコントのようだった。「家から追い出して」と言われた時、「お父さーん」と抱きつくシーンや、須賀健太とビンタし合うシーンは笑ってしまった。

群像劇として観るとそれぞれの心境が分かりづらい部分もあったが目的とか理由とか、そうゆう事を深く考えないのが若者なんだろうな。地方都市特有の人間関係が描かれていた。海に潜って「見た事がない世界が広がっていた」と言うアントニーのシーンが意外と良かった。
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