カツマ

ブレードランナー 2049のカツマのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
ブレードランナーという伝説的な看板をドゥニ・ヴィルヌーヴという圧倒的個性が完全に上書き!正統派な続編でありながら監督自身の主張がはっきりと打ち出され、リドリー・スコットの名前は遥か遠くへと掻き消されたかのようだ。ハンスジマーの不穏感を煽るエレクトロニカサウンドと、ロジャーディーキンスのカメラワークが有機的に融合。雨と曇天ばかりの空が反転し、スクリーン全体に靄がかかっているかのように、近未来の地球はこんなにも暗く閉ざされた。否応にもライアンゴズリング視点で見てしまう、完全無欠のゴズリン映画でもあります(笑)

時は2049年。レプリカントは一度は排除されるも、ウォレス社の開発により新型レプリカントとなって再び世に放たれた。生き残った旧型は排除の対象となり、それらを掃討する役目を追うのがブレードランナーだ。
新型レプリカントのKは旧型の駆除を行うブレードランナー。だが、ある日の旧型駆除の際、彼は見つけてはいけないパンドラの箱を発見してしまう。その箱の中には何十年も前に残されたある奇跡が込められていた。Kの記憶の中にある断片を頼りに、彼は自らの出自とレプリカントの未来への扉の鍵を開けていくことになる。

孤独なブレードランナーことKを癒すホログラムの美女役として登場するアナ・デ・アルマスは今後売れっ子になっていきそう。メインキャストとしてハリソンフォードが登場することが象徴しているが、見事なまでに前作を引き継いだ続編である。前作を見ていないと後半に置いてけぼりを食らうはずなので、予習は必須。
決して派手なSFではないが、簡単に消化できるような軽い作品に仕上がっていないところはポイントが高い。一点だけ物申すとすればそれは時間の長さのみ。だがその長さを耐え忍ぶ価値のある素晴らしきラストシーンが用意されています。カルト映画として愛されたブレードランナー。2049の先もまだまだ見てみたい。
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