わたがし

マレフィセント2のわたがしのレビュー・感想・評価

マレフィセント2(2019年製作の映画)
5.0
in DOLBY CINEMA
 たくさんお金の掛かったファンタジー映画を立派な映画館で観る、なんて贅沢な行為なんでしょう。中学生の時、ひたすら塾で受験勉強ばっかしてた時、どんだけ『アバター』とか『アリス・イン・ワンダーランド』とか『トロン:レガシー』が心の救いになったか。現実世界からパッと離れて、観たことない景色で出逢ったことない人と出逢って、経験したことない冒険をする。こういうブロックバスターファンタジー映画を観て「よし、俺も映画監督になるぞ!!」と思い立った中学生のあの時期の自分を思い出す。あれからもう10年ぐらい経っちゃったんだなあ
 そんな情感で観てしまうのでこの類の映画は贔屓目で観てしまうんだけど、それ抜きにしてもほんとに面白いストーリーと目を見張るスペクタクルがたくさんあるすっばらしい映画だと思った。やっぱりやっぱりファンタジー映画は最高です。おとぎ話だけが生きる意味を教えてくれるのです
 序盤からリアルの世界でも仲悪そうなアンジェリーナ・ジョリーとミシェル・ファイファーの食卓でのネガキャン合戦、アカデミー作品賞候補作かよってぐらい編集とカメラワークが的確で、途方もなくバカみたいに金のかけた昼ドラを観ている気分になる。全編通じてフレーミングセンスもいちいち抜群で、ただの切り替えし会話中も手を抜かないし、魅せ場のテンションのあげ方の塩梅も好きすぎる。最後の海賊のそういうところも好きだったし、やっぱこの監督好きだなあ(なぜか今回はコンビじゃなく単体だけど)
 特に最高なのがオープニングクレジットで、限られたフレームの中でいかに空間と被写体を美しく流動的に観せるかという完全に気の違った執念に思わず泣いてしまった。あんなにマクロとミクロを往来しながらピントと被写界深度が変わる実写映像を生まれて初めて観た。カメラを発明した人に感謝、映画文化に感謝、ジョルジュ・メリエスに感謝、月世界旅行ぐらいしか知らんけど
 クライマックスのひたすら続く異常なテンションのカットバックと鳴り続ける音楽、明らかに血末梢にしか見えない赤い煙(絶対に確信犯)、紆余曲折あるけど何があっても結局一番正しいのはアンジェリーナ・ジョリー!!!!っていう前作から変わらぬプロデューサーのエゴ。ラストはもうちょっとああしてれば……こうしてれば……もっともっと神話めいた余韻に浸れたのに、と思ったけどアンジェリーナ・ジョリーだもんね、そりゃアンジェリーナ・ジョリーだもん、仕方ないよね、あとエル・ファニング、交際を前提に友達になってください
 そしてディズニージャパンはなぜ3Dという文化を邪険に扱うの!!ちゃんと原本が3Dなら日本でも3Dで上映をして!!金にならないからっていうのもわかるんだけど、わかるんだけど、3Dが金にならないビジネスだって諦めるのはまだ早いと思う。みんな低クオリティ3D映画氾濫期に興味本位で観たしょうもない3Dだけ観て「頭痛くなる」とか「酔う」とか言ってわかった気になってるだけなんだから…3Dはもっともっとすごい可能性を秘めてるんだから……諦めないで、見棄てないで、多様性多様性言ってるのは誰なんですか!!!!
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