やまぞう

午後8時の訪問者のやまぞうのレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
3.0
まぁ、ダルデンヌ兄弟監督なので、サスペンスっつてもハラハラドキドキな感じじゃないんだろうなと、予想はしていた。

ある町の小さな診療所。
診療時間が過ぎた時にドアベルが鳴るのだが、たまたまそれに応じなかった女医のジェニー。
しかし、翌日にドアベルを鳴らしていた少女の死体が近くの川辺で発見される。

「もし、自分があのドアベルに応じていたら、彼女は死ななかったのかも...」

女医のジェニーは、人の怪我や病気と真摯に向き合う善良な医師である。
その彼女が、助けられなかった命に対する罪悪感から、死んだ少女について独自に調べ始めるのだが...。

サスペンスとして変化球なのは、ジェニーが「少女を殺した犯人」を調べるのではなく、「少女の名前」なのだ。

あの夜、診療所に助けを求めた少女を救えなかった罪滅ぼしで、せめても身元不明で埋葬されないために、ひたすら診療所の監視カメラに映っていた少女の画像を頼りに、少女の名前と来歴を探す。

いやいや、何で死んだのかとか、誰が殺したのかとゆー方が大事でしょーが!

という観ている自分の心のツッコミに反して、ジェニーはただひたすら「少女の名前と来歴」を探し求める。

ドラマティックな展開や、「えぇーっつ!そーだったのー!?」とかゆーサスペンスを期待してる方には極めて地味な映画だろうと思う。

しかし、ただ「死んだ少女の名前」を調べてゆくジェニーに対し、勝手に「オレは殺してない」とか「事件に関わってない!」と主張するヤツらの心理は面白い。

名探偵さながらに、冴えた推理をするわけでもないジェニーに、死んだ少女に関わったヤツらが勝手に追い詰められてゆく。

それにしても、殺人事件かもしれないし、凶悪な奴が絡んでいるかもしれないのに、警察に相談も許可もとらずに調べてゆくジェニーは無防備すぎるやろw
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