べーすべーす

わたしは、ダニエル・ブレイクのべーすべーすのレビュー・感想・評価

4.4
この作品をただただ感動する名作映画だと言いたくないのです。
何故なら自分もいつかダニエルブレイクのようになってしまう可能性に溢れているから。
 福祉の制度の狭間に落ちてしまった59歳の元気な老人。職人気質で、マジメに生きてきて、ルールも守り、納税を果たし、人生を進み、孤独になりながらも最後にたどり着いた所がこんな現世の奈落だった。見た目は元気であってもドクターストップにより働けず、働けないため給付金がもらえない。給付金の援助をもらう為に、受かっても働くことができない面接を受けて落ちに行く。なんでこんな事になってしまったのか。これより惨めなことがあるのだろうか。
そんな中で出会ったシングルマザーと子供たちとの温かい交流に胸が熱くなる。
もし、この事を現実的に考えると頭が悪くて備えなかったのがいけないと一蹴されてしまうのだろうか?制度を知らず、準備をせず、のらりくらりと生きてきてしまったら損をしてしまうのか。そんな人間には追い風が吹かないのか。
それにしても難しい制度の前に、考えることをやめてしまいがち。
そんな中でまた彼が表現するアートに胸動かされる。
身に詰まるリアルな視点の映画に込められた力強いメッセージに涙が。😭
彼の名前は忘れない。ダニエルブレイク。
人間だった。けっして犬じゃない。
親切で正直な優しい男の生き様だった。