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ルイ14世の死のKSatのレビュー・感想・評価

ルイ14世の死(2016年製作の映画)
4.1
映し出されるのはずっと寝床のまわりである。何も特別なことなど起きない。ただ、「王」がビスケットを食べ、帽子を脱いで挨拶をし、ワインを飲ませられ、水を欲し、そして死にゆくばかりである。

だが、驚いた。時間イメージがないのである。「王」が周りの人々に何かをされ、「王」が微かに反応し、それに対する周りの人々の表情が伺えた次の画が、全く違う日の、違う時間になっている。どうやら逝き去るまでの数週間の噺なのだが、まるで時間の経過がわからないのだ。

「王」は途中から殆ど死んだも同然である。しかし、かすかに鼻が動き、僅かに何かを話し、瞼が微細な痙攣を見せている。レオーは化け物だ。まるでラ・トゥールやレンブラント、ベラスケスやカラヴァッジオらバロックの巨人たちの名画のような、技巧的で狡猾な光も、レオーの前には力を失うかのようだ。
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