cyph

ブンミおじさんの森のcyphのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
4.1
新文芸坐オールナイトにて35mmフィルム上映 過去に光の墓だけ観て、みんなの言うアピチャッポン=深くて暗くて豊穣な緑ってイメージはどこから来るんだろう(少なくとも世紀の光でも光りの墓でも緑はくすんだ色でしか表現されない)と思ってたけど、開始5秒でこれかーとなった 冒頭の牛、からの暗闇に光る赤い瞳という怒涛のシークエンスによって前世や聖霊や幽霊が生々しく存在する世界であることをはっきり予感させられ、さらにあの不思議な食卓でこれまで世界に対して抱いてた思いこみがひとつずつ丁重に薙ぎ払われていく 丁寧に拾われた虫の声などの森の音が、さらに深く迷いこみを導いていくのも不思議な気分だった

ラオスからきた働き者の移民の男の子に透析をしてもらうシーン、農園でハチミツを舐めさせてあげるシーン、洞窟の奥でブンミおじさんの身体から液体が静かに伝っていくシーンが特に印象的 アピチャッポン作品に描かれる医療行為、誰かの身体が誰かのケアを必要としているということをこんなに冷徹さやいやらしさを排して描けるんだ、と静かにちょっと体温が上がる

ナマズらへんから瞼が下りたり上がったりで観てしまったので真夜中でないときにもう一回観たい ブンミおじさんの前世って結局なんだったんですか?ナマズ?牛?
cyph

cyph