ぴのした

ブンミおじさんの森のぴのしたのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
3.7
スピリチュアルなタイムービー。死期が近いブンミおじさんの元に、幽霊の妻や精霊になった息子が戻る。

ブンミおじさんの最期の語りが良かった。「ここは母胎のよう。私はここで生まれたのだ。はっきりとわかる。」

全体的にセリフ少なめで雰囲気と奇想天外な展開で魅せる作風なんだけど、あの語りだけはやけに雄弁で印象的に残る。

僕が個人的に好きな清水寺のおすすめスポット「胎内巡り」を思い出した。真っ暗な闇の中を手探りで進み、洞窟の最果てでぼんやりと浮かぶサンスクリット文字を見つけ、母胎を感じるというものなんだけど。

その後に語られる未来の夢の話も良い。語りの背景に、戦争や現代っぽさを表すような静止画を挟むのも良かった。

タイは本来こういうスピリチュアルな価値観だったのが、現代では失われつつあるっていう話だったのかな。美しい映画でした。