和桜

ハクソー・リッジの和桜のレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.9
「この戦争がお前の主義に叶うとでも?
お前が何を信じようとも戦争には通用しない」
そう言われ続けながら、戦時中ひたすらに自身の信念を貫き通した男の物語。
CO(良心的兵役拒否者)として初めて名誉勲章を受章したデズモンド・ドスという実在の人物がモデル。

彼は兵士でありながら暴力を信じず、振るわず、銃を持つことを拒否し続ける。故に仲間からは奴を信用するなと言われる。奴が戦っているのは、敵ではなく自身の良心だからだと。
前半はそんな彼の信念と、軍や世間の価値観とのぶつかり合いが描かれる。だけどこれは単なる嫌がらせとかではなく、軍の側も士気を下げないため、仲間を守るための言動なので、どちらの言い分も理解できる部分があるのは悩ましいところ。

後半になり舞台は戦場へ。
人が殺し合う中で、一人くらいは助ける者がいてもいいはずだと戦地へと向かうドス。そして彼の信念は戦場で奇跡を生みだす。
信仰心を持たないものが、その奇跡を実際に目にすることで何かを信じ鼓舞されるというのはいかにもアメリカ映画らしいのだけど、同じ側としてこういう映画はやはり響く。
監督メル・ギブソンの今までの主義主張も一貫していて、自分が彼の映画を好きなのは「信仰」という未だ見つからないものへの憧れなのかもなと思ってしまった。
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