彦次郎

アルジェの戦いの彦次郎のレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
4.5
1950年代フランス領アルジェリアで独立を求める地下組織と阻止しようとするフランス軍の死闘を描いた実録戦争映画。実際の映像は使用せず関係者の証言や記録で詳細に再現されています。街の不良アリが組織のリーダーに見込まれて指導者幹部となっていく過程で闘争の経緯も分かる構成。ドキュメンタリー的な作りですがフランス軍マシュー将軍の執拗な作戦に解放戦線が追い詰められていく知恵比べとサスペンス的要素はエンターテイメントとして成立しています。
アリが拳銃渡されて警官に発砲するも弾倉が空(リーダーが試す為にワザとやった)な場面はアルジェリア版『仁義なき戦い』というべき滑稽さがありますが基本はハード且つ非情。組織は警官を殺しまくるだけでなく女に甘い検問を抜けた先には無差別爆弾テロという一般の創作系なら「悪」ですが対するフランス軍も拷問&爆殺と容赦なしで戦争の混沌さが表現されています。
制作時期が戦争末期から始まってるのも凄いですが出演者が戦争体験者多数という事で作品から立ち上がるエネルギーが伝わってきました。
個人的にはモノクロですが現実的な緊張感と民衆の熱気とモリコーネの印象的なBGMが相まった名作。
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