るる

メリー・ポピンズ リターンズのるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

予告編を見たときから楽しみにしていて、絶対に3Dで観たいと思っていたのに、3D版が作られていないと知って、ショックで。

だって、アニメと実写の融合、ディズニーアニメの世界に、生身の人間が入っていく、という、もう、画期的な夢を見せてくれたメリーポピンズが、CG満載の最新技術で現代に帰ってくるなら、最新の鑑賞形態で見たいでしょ…『アバター』から10年、3D映画の進化を見せつけるような作品を期待していたので、完全に、拍子抜け。

それでも、2Dでもいいから、これは映画館で見よう、予告編に期待して、あの海に入る感覚を味わいたい、あわよくば『アクアマン』と比較したい、異世界に連れて行って欲しい…と、かなり期待して見たので、いまいち魅力を感じられず…残念。

フェミニスト活動家だった母のように、労働者の権利を訴える、無邪気な活動家、よく笑う姉に、エミリー・モーティマーを起用したあたり、正解!と思ったけれど。

活動家か、と、わざわざ腐す台詞にうんざり。そういうところがチャイルディッシュでダサいんだよ、ディズニー! と思っちゃったな。
フェミニスト団体や人権団体の批判を受けて、表現を工夫してきて、いまの成功がある、いわば、作品への批評とともに成長してきた会社なのに、未だに、わざわざ活動家を腐すような台詞を入れるあたり、なんだかなあ…この、一連の、作品群の流れで、この台詞をあえて入れちゃう?とか。

資本家が労働者を腐す台詞なら悪役らしさを補強する表現だけど、弁護士に言わせるかとか。白人弁護士は嫌な奴だけど、黒人は良い奴、という演出なのかもしれないけれど、あまりにもあざとすぎて辟易…
ディズニーの実写映画を立て続けに観てきたけど、有色人種の起用がほんっとうに下手なんだな?と感じる…
アナ雪、ズートピアのおかげでディズニーに興味が湧いて、作品を片っ端から見てきたけど、けっこう、疲れてきた、マーベルを飲み込んだディズニー、裾野の広さをどう思えばいいのか…

歌、ダンスに、あんまり惹かれなかったのも残念…

風呂場の歌、嫌がる子供たちを風呂に入れなければならない親のための歌だと思ったし、子供たちの風呂タイムがワクワクする時間になるように作られたとわかって、良い試みだと思うんだけど、

CGは凄かったけど、質感には乏しくて、うーん。子役の目線が、CGと微妙に合ってないように思えたし、どうにも振り付けが面白くなくて、絵として、構図的として、いまいちワクワクできなかったな…

CGを使ったミュージカルとして、『ララランド』が圧倒的だったよな、とも思ったし、群舞の撮り方でいえば、『ヘイル・シーザー!』はなかなかユニークで、映画的だったよな、と思ったりして。

陶器の世界を歩くときの、あの音、あれは、新しいファンタジー世界を見せてくれたな、とワクワクできたけれども。

サーカスの舞台に上がることになったメリー・ポピンズ、最初、断る姿が絶妙に茶番っぽくて、欧米圏のショーでたまに見る演出だなと思って、面白かったんだけど、肝心のステージ、そこまでワクワクできず…ペンギンだ!とは思ったけど…なんだろ、カメラアングルの問題かな、もっと迫ってきてほしかったんだけどな…

馬車、アニメキャラクターとのやりとり、ユニークだったけど、これを3Dで見たかったんだよなあ…と思ってしまって、いまいち乗り切れず。

その後、CGとのめくるめくコラボレーションはなくなって、どうにも失速した印象に。

点灯夫たちのダンス、舞台っぽさ、生身っぽさがあって惹かれたけど、アクロバットの美しさよりも、テクニックの凄さを見せつけるような撮り方で、イマイチ…舞台の、ライブの迫力には絶対に敵わない以上、撮り方に工夫が必要だったと思うんだけど、そっちの方向にいくかあ、という…

なんだろう、好みじゃなかった、残念!

そして、身もふたもないことだけど、メリーポピンズにそこまで惹かれないんだよね、だらしない人間だから、厳しい乳母に、構えてしまう。

小さな大人ね、と言われる、良い子すぎる子供たちにも心動かず…歌上手いね…子役だね…という見方をしちゃって、うーんんん

ジャックの存在が、良いところどりすぎない? 大人になっても夢を忘れない大人、メリーポピンズを忘れないでいられる、気のいい男…ディズニーが憧れる、大人の男像だ、って感じ。良いんだけど、メリーポピンズより、彼のほうがマジカルで魅力的に感じてしまって、うーん…
どうせジャックみたいな男を活躍させるなら、妻を亡くして近視眼的になってるマイケルと会話させてほしかったかな、せっかくなら、苛立つ男をケアする女子供ではなく、男を見てみたかった、そこに新しさを見出したかった気がする、ジェーンとのロマンス未満の関係にもそんなにワクワクできず…可愛かったけどね。

ベン・ウィショー演じる父親も、ちょっと物分かりが良すぎる気もして。でもまあ、そうそう悪くは描けないよなあとか。妻を亡くした悲しみに浸りながらも子供と向き合う姿は手本のよう、『くるみ割り人形と秘密の王国』とは大違い、メリーポピンズは見守るだけ、でもまあ、それでいいんだろうな。良くも悪くも、ベン・ウィショーなら放っておいても大丈夫だろうという安心感はあった。

終盤にかけてのドタバタ、『プーと大人になった僕』も連想したけど、どうすんのかな、と思ったら、オリジナルキャストによる大岡裁きで、映画館で小さく笑い声が起きていたのは良かったんだけど、世代交代ではなく、白人の老人に権力が戻る展開で、イマっぽさを感じられなかったのは残念だったかな…机の上でのタップダンスもなんだか心配になっちゃったしな…物語の定型として、老賢者が良いところ持っていくのは良いんだけど、その枠には提督もいたし、なんだか懐古趣味的で、うーん…

『パディントン』シリーズの物語構成の隙のなさは出色の出来だったなと思う。

最後の風船、可愛かったけどな。プーさんというより、『ピーター・パン』だよね、ビッグベンといい。

なんだかんだで、メリー・ポピンズよりも、男の子がメインの話になってたのが、ちょっと物足りなかったんだけど、凧をつまんで舞い降りてきたメリーポピンズにはやっぱりグッときたし、今後シリーズ化されるなら、期待したいかも、という気はした。
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