Melko

手紙は憶えているのMelkoのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.6
重い…重たい…救いがない…

序盤の展開、中盤の不穏さ、終盤のあっけなさ。
90歳のじいちゃんが復讐しにいく話は、ものすごくハラハラする。というかイライラに近いぐらいヨボヨボったらもう…。それぐらい動きが遅いし、おまけに認知症。寝たら記憶がリセットされ、友人からの手紙をまた読み直して一からスタート。。

銃社会の怖さ(免許証見せれば銃が買える)
70年という長い時間が経っても残る戦争の傷
家族を殺された悲しみは死ぬまで残ること

主人公たちが成し遂げたかったこともわかる。アウシュビッツのことは、事実と部分的なことしか知らないが、殺した側にも事情があるのではないか。殺さなければ殺されてたかもしれない。ホロコーストという狂った地獄で、そんな不名誉極まりない仕事をしなければならなかった人たちの中で、一握り、良心を持った人たちは、人を殺したことを誇りにせずひた隠しにして生きてきた。それではダメなのか。生きて償うということは許されないのか。家族を持ってはいけないのか。志願したわけではなく、たまたまそこに配属され、与えられた仕事だったのかもしれない。
自分が経験したわけでもないのに、ユダヤ人の主人公に向かって、「ブタ」って言ったあの息子の方がよっぽど狂ってる。
学生の頃は、歴史を勉強する中で、人を殺した側に嫌悪感を抱くだけだったけど、歳を重ね、こういった映画を見て少しずつ学ぶことで、歴史の中で、戦争で「人を殺した人々」の苦悩と悲しみについても考えるようになった。この映画ではあまりそこに詳しく触れられはしないけど。

復讐を遂げても、救われるわけではない。
こんな悲しいことを起こしてしまう戦争は、やはり憎むべきものだ。
Melko

Melko