龍星

アリー/ スター誕生の龍星のネタバレレビュー・内容・結末

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

課題の一環で観た。
国民的ミュージシャンのジャクソンは、ある日アリーというミュージシャンを志す女性に才能を見いだす。二人は恋愛関係に発展し、アリーもその才能が認められ始めたが全てが上手く行くことはなく…という話。
ミュージシャン、スターとして花開く中で私生活に目を向けられなくなっていくアリーと、そのアリーと自分を比較したり元の幸せな生活がなくなっていったりする人生に耐えられなくなっていくジャクソンの対比が本当に残酷なほど丁寧で観てるのちょっと辛かった。序盤、中盤までは歌唱シーンも多くて、レディー・ガガもブラッドリー・クーパーも歌上手すぎてただ鳥肌が経ってたけど、アリーが歌う曲が彼女の好んでいたものと解離していくし、ジャクソンは歌うことを明らかに辞めていく。これらの要素が聴覚的に、加えて二人が喧嘩してしまう描写で視覚的にも関係性の変化をまじまじと見せられるのがきつかった。(それだけ徹底しててすごいという意味) 結果的にジャクソンが死んでしまって、アリーはスターの自分の中から自然体、日常が浮き出る滲み出るような歌唱をして映画が終わるのがキレイすぎた。特に一瞬ジャクソンの歌唱に移るところ。トリハダと切なさの大波が来ましたね。正直それで拭いきれる切なさ辛さの加減ではなかったから後味は苦いんだけど。
自分の周りにいかに自分自身そのものを愛してくれる人がいるか、が大切だなと感じた。ジャクソンには腹違いだけど心底心配してくれる不器用な兄がいたし、アリーもそばにはいたけど、愛を求めながらも彼らに気づけないという悲しさがあった。アリーにとってのそれはジャクソンで、いつだつて誰よりもアリーのアーティスト活動を彼女の素の視点に寄り添っていた。何度も書くけど、どこまでもきちんとすれ違いで悲しくなる映画。自分の周りにいてくれる人たちの顔をいつもよりもっとよく見てありがとうって言いたくなる。
歌はもう全部素敵。アリーはレディー・ガガが演じるので文句無しの歌唱力。あんまりブラッドリー・クーパーの声知らなかったので、歌声激渋でハートが撃ち落とされた。二人とも演技もすごく上手だし。
また観返したい。
龍星

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