龍星

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスの龍星のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

気になっていたのでIMAXで鑑賞。
観たことない映像がすーごいいっぱい観れる。その上前作以上のストレンジの成長がかなり丁寧に描かれる。初めの方のストレンジはいつも通り少し捻くれていて、幸せを掴めない最強の魔術師。クリスティーンも結婚しちゃうし。彼がマルチバースを通して、自分の変異体たちの抱えていた有害な寡黙さ、その結果を見て回ることで、どの変異体よりも素直に気持ちを吐き出せるようになったし、今ある幸せを享受する人物になる。自分はドクター・ストレンジの傲慢さが結構苦手だったので、そこが解消されたことが個人的には嬉しかったし、彼自身のヒーローとして、人としての成長でもあるからすごく良かった。ただ私はこの映画観てる時、だいたい苦しかったしかなり泣いた。ワンダのこと。「ワンダヴィジョン」を通して、彼女はヒーローになってくれるものだと思ってたし、予告でもハッキリとヴィランだと提示はされなかったのでわかった時かなりショックがデカかった。しかも全然中途半端じゃない。しっかり人を殺すしチャベスを執拗に付け回す。どの人間も善性悪性があって、フェーズ4はかなりその境界を曖昧にしてきているから、逆にこの振り切り方は本当にびっくりした。でも、根源を辿ると、やっぱりサノスのせいだし彼女の意図的な行動による落ち度はかなり少なくて、『IW』がやっぱり影落としだったよなって。だから彼女が今作ですることは決して肯定できないけど、でも気持ちが死ぬほどわかってしまう。シネマティックユニバースとして全部観てきているから持つ感情だし持てる感動だった。最終的に会う子どもたちに魔女だと言われてしまうこと、そのバースのワンダの「あなたを愛します」を含めて、何度観ても多分泣くと思う。チャベスのキャラはフレッシュでありながら抱える過去が暗いので、どうかMCUメインバースのティーン達と快く大暴れしてほしい。
ダッチアングルとか、ホラー特有のグッて感じのズーム(名前なんだっけ)かなり使っててきちんと怖かった。殺した遺体とかガッツリ映るし、グロだしその辺りはMCUで観られないし、それを差し引いた演出としても光ってた。
イルミナティの扱い方に疑問がある人が結構いるぽいんだけど自分はこれがベストだと思ったし監督の意図をすごく感じた。批判ではないけど『EG』、『ファー・フロム・ホーム』後のMCUは良くも悪くもサプライズが多かった。「ワンダヴィジョン」のエヴァン・ピーターズ然り、『ノー・ウェイ・ホーム』のヴィランとピーターズ然り。これからシークレットウォーズに向けてもっとマルチバース展開するだろうし、キャラがどんどん増えていくし、サプライズありきになるんじゃないかという怖さが正直あった。その中で、このイルミナティの扱いは『スパイダーマン』を撮影しヒーロー映画の扉を開いた生粋のアメコミ好きサム・ライミからの激励、忠告、そして風刺だったように感じる。一線を越えてしまう前に境界をここに引いたのはすごい功績だと、十年後に思うんだろうな。しかも別バースのヒーロー達だから、ものすごくメタで最低な考え方をすれば、僕らのユニバースにはまだ彼らがいるはずなので大きな問題でもない。キャラクターを丁寧に描いたことも、先を見据えた設定付も素晴らしかったです。
音符バトルとゾンビストレンジはかっこよすぎる。大好き、
龍星

龍星