龍星

THE FIRST SLAM DUNKの龍星のネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

やっと観れた~!!!原作好きなので!
湘北高校バスケ部2年の宮城リョータは、特別な想いを抱きながらインターハイにて最強と謳われる山王工業との試合に臨む…。
ほんっっっっっとうに良かった!!!原作の主人公である桜木ではなく、新しい視点として宮城リョータをそのポジションに置くという、予想外すぎる設定にびっくりしながら、兄ソータとの最後の日から映画が始まるという…。一時素直になれなかっただけで心に残ってしまった後悔にもう涙を誘われた。試合の合間に挟まるリョータの過去はどれも哀しく苦しくやりきれなくて。記憶違いじゃなければ、これらの回想はほぼ原作コミックにないはずだから、すごく新鮮に、でもより引き込まれながら観てた。リョータが試合にかける想いがひしひし伝わってきて、元々好きだったプレスの間をドリブルで突破するシーンで大泣きしてしまうほどだった。さらにすごいのは、これだけリョータの話に時間を割きながら、他の4人がないがしろになっているわけではなかったこと。それぞれが抱えている気持ち、情熱、やるせなさみたいなものが試合の中ですごく自然に昇華されていくのが半端なかった。試合の後、リョータと母親が話す場面は胸がスーッとしました。と、同時に、留学したリョータと沢北の話もっと観た過ぎてわくわくした。
演出面を通してすごく感じたのは、井上雄彦はこれを“本物の試合”としてみせたいんだ、ということ…。自分も中学でバスケ部だったからわかるけど、ボールやバッシュから出る音に始まり、場内に響くベンチの応援(一本!そーれ一本!とかマジで言ってた)、ユニフォームのなびき方、選手がフェイクかける時の動きと目線…本当にリアルすぎた。なんなら、アニメだからできる、コートの中でのローアングル、バードショットは、試合に出てるかのようだった。これだけじゃなくて、(本当の試合だったらそんな喋ってらんないよね)っていう、スポーツ漫画及びアニメに抱く違和感を打ち消すように、試合中の台詞(心の声以外)がコミックから削られまくってて、それもすごく良かった。スラムダンクといえば、という名言(「バスケがしたいです」、「大好きです 今度は嘘じゃないっす」など)も、入れる余地ありながら入ってなくて、この決断が好きだった。試合のテンポ感が損なわれてなかった。
音・音楽でいうと、最初のThe Birthdayで試合前の高揚が完全に構築されて、10-FEETの曲で盛り上がりがどんどん形成されていくのが堪らなかった。さっきも書いたリョータのシーンで流れる「第ゼロ感」(Double Crutch ZEROかも)が鳥肌モノだった。ラストプレイ、どんどん音数が少なくなって、台詞もドリブルの音も消えて、最終的にタイマーの音だけになった所、空気の張りつめ方が尋常じゃなくて、これ書く前に2回観たけどどっちでも二人がハイタッチするまで息がずっと止まっちゃった。ヤバかった。
あんまりアニメ観ない理由に、「声優さんの演技がオーバーに感じてしまう」という理由があるのだけど、今回はそれがほっとんどなかったのも良かった。良い意味で等身大の高校生の声だと思った。
実は去年9月から今年4月まで留学に行ってたので、正直劇場で観るのは諦めてたんだけど観れてよかった。Walmartのパロディ(表現合ってる?)にも、このおかげで気づけました。
龍星

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