カツマ

アリー/ スター誕生のカツマのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
4.6
ラストカット、そしてエンドロールが落ちて来る。その瞬間、もう止めどなく溢れる涙を止められず、今はもう懐かしくなった歌声を聴いていた。この映画の中では、歌わずにはいられない二つの音楽が、そして愛し合った二人の愛が息づいていた。生まれる星、消えてゆく星、それらの星々のように煌めいた、たった一つだけのラブストーリー。

ブラッドリー・クーパー、レディー・ガガ共に、アカデミー賞で最優秀賞を獲得しても全く文句はない素晴らしき名演!ガガは貫禄の歌声で彼女本来の実力を存分に示し、更には歌手ではないはずのクーパーがまるで実在したかのようなカントリー歌手を完璧に演じ抜いている!音楽映画としての醍醐味に加えて、恋愛映画としての切なさが胸を打つ、光と影を宿した刹那の夢のような物語。

〜あらすじ〜

売れっ子カントリー歌手のジャクソン・メインはその日も満杯の観衆を前にライブを披露し、もちろんライブは大いに盛り上がりを見せた。だが、ジャクソンは帰りの車中で酒に浸り、通りがかりのバーで追い酒を交わすことに。彼は栄光の影で、アルコールへと依存する毎日を送っていた。
ジャクソンはそのたまたま入ったバーでアリーの歌声を聴いた。ジャクソンは一目見てアリーの歌声に惚れ込み、彼女を自らのライブへと招待しようとする。
しかし、アリーにはジャクソンと過ごした一晩に全く現実感が無かった。一度はライブへの招待よりも仕事を優先しようとするのだが、最終的にアリーはライブへと向かう選択肢を選んでいた。
大観衆を前に歌うジャクソン。彼はアリーが作曲した歌を一緒に歌おうと、ステージの上で彼女のことを待っていた・・!

〜見どころと感想〜

この映画は絶対に高音質の映画館で鑑賞してほしい作品。今回IMAXで見ることができたおかげで、ガガが歌声を発するたびに感極まってしまい、ストーリーの素晴らしさと混ざり合って、ダイレクトに胸のど真ん中を撃ち抜かれてしまった。
脚本家はジャクソンにカート・コバーンを重ねた部分があるらしく、確かに見終わってみて、そう思える部分はあったと思う。

劇中を彩るサウンドトラックには、クーパーがその演奏を実際に見て打診したというウィリー・ネルソンの息子ルーカス・ネルソンが共作者として名を連ねており、ガガと共作でいくつかの名曲を生み出している。

これは、すでにスターだった男と、スターになりたかった女の、美しくも切ない愛の物語。何度もリメイクされている元ネタを現代風に置き換えており、まるでガガの自伝映画のようにも思えてくる。現代のスターが演じるスター誕生。大音量の映画館で、その音楽と歌声に心行くまで浸ってほしい。そうすればきっと、知らぬ間に涙が頬を伝っているはずだから。
カツマ

カツマ