ryodan

ディストピア パンドラの少女のryodanのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい世界観。一冊のSF小説を読み切った感じ。何が素晴らしいって、人間様の世界が終わるってところ!黙示録的映画でいつも人間がサバイブして一筋の希望で終わるのがどうも納得いかなかった。どこまでのさばる気だ。自然界の頂点に立つ(と自認している)人間。その人間が頂点から陥落する。その象徴的なシーン、巨大な樹木が火で燃え盛る。壮麗で恍惚。見ながら「あ~、これで終わる~っ」と肩の荷が下りた解放感!人間が世界の中心でいられなくなる。人間の価値観が終わる。誰も彼等を野蛮だとは言えまい。それが自然なのだから。絶滅危惧種的な扱いを受けていくであろう、あの女性。やや上からのヒューマニズムを丸出しにしていた彼女が卑屈にならなければいいのですが。自分達の種が一番優位で、一番永らえなければいけないという独善的な考えが、ある疫病で終焉を告げる。今時の多様性を自然界にも目を向けるべきなのかも。期せずしてコロナですから。
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