ドイツからフランスへ、医学留学のため列車で移動中の最中、主人公は不可解な尋問を受ける。その後、自分のスーツケースの中に、見知らぬ男の頭部が紛れ混んでいることに気づく。
1990年代前半、ベルリンの壁崩壊直後を時代背景とし、政治的なトラブルに青年が巻き込まれるサスペンス。
政府の要人、スパイ、家族、医学生の友人との、多感な青年の繊細なコミュニケーションに、重きを置いて描かれる。
スリラーとしての、単線的な面白さがなかなか見えづらく、複雑な人間関係の中から立ち上がってくる主人公の動揺や混乱が目につく。
非常に複雑な構成・関係性を持った、青春映画としてユニークな魅力を持つ作品であるように感じた。