アンダーソンGK

迫り来る嵐のアンダーソンGKのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
4.0
1997年の中国。巨大な工業地帯での工場の、保安部に勤める主人公は、その地域で起こった猟奇殺人の犯人探しにのめり込んでいく…。

97年の香港返還、07年に中国全土を襲った大寒波など、社会や時代の刻印を物語に押しつける。

90年代に出てきた「セブン」に起因するサイコスリラーのようなタッチを取りながらも、むしろ同フィンチャー監督作「ゾディアック」のような、凶悪犯罪とその背景にある社会情勢との関わりの中で、真相を突き止めることの不毛さが前面に出てくる内容だった。

スリラーと言うよりは、隠喩に満ちた時代の寓話と言った印象。