ヨーロッパ系の人ってアジア系の人よりもカニバリズムに対して過敏な反応をする様な気がする。
でもギリシャ神話ではクロノスがゼウス達自分の子を飲み込んだりしてるし、近代科学医療が進まなかった暗黒時代のヨーロッパでは医療行為として人間の組織を食べさせたりしていた記録もある。
日本では「ひかりごけ事件」が有名です。
でもその前に
お伽話「カチカチ山」では捕まえた狸が婆ちゃん唆してブッ殺して鍋で煮て
婆ちゃんに化けた狸が帰宅した爺ちゃんに鍋を食わせる、という
かなりホラーな子供向け寝物語があるし、佐川氏が子供心に影響を受けた「捕まえて喰らう鬼」のイメージも節分や風習などであるから、本作も「あーそう来たか」という感じだよね。
中国の古い物語では、グルメな王様が世の中の美味いものを全て食べ尽くしてしまった時、お抱え料理人が自分の子供を料理して「究極の料理」として献上して「料理人の鏡」とされたりしている。
ポリネシアには人肉食の風習があった部族があった。
日本人だって大戦中にアメリカ人捕虜を食べた、という話がないわけではない。
昆虫ではクモやカマキリはオスはメスに食べられる最期は多いし
チンパンジーなども共食いすると記録されている。
自分達だって極限の飢餓状態になったら、どうなってるか分からない。
本作はそんな緊急事態の話ではなく、単なる欲望として「食べたい」という衝動が止まらなくなっちゃった話。
それが主人公ジュスティーヌの性の目覚めとか成長とかと一緒に開花させちゃうから何だかおかしな話になる。
最期のオチはこの作品を台無しにしてる気がしなくもない。