デニーロの独壇場。
過去の栄光に固執する自己承認欲求を拗らせたメジャーリーガーファンが
自分の存在を選手に蔑ろにされた被害妄想で暴走する。
この作品に登場する実在チーム、サンフランシスコジャイアンツ、よくこの作品に名前を使わせたなぁ。
前半、大好きなレグイザモがちょこちょこ出てるけど、この人ホントに演技が上手い。
ウェズリースナイプスとの共演はこの後「3人のエンジェル」でもやってるけど
先に「3人の…」を見てしまうと「この2人、実はホントにドラッグクイーンなのでわ?」と思わせる程の演技力。
それはスナイプスも同じなんだけど
スナイプスは、ダンスをやっていた人だけあって、人種を超えた色気とかしなやかさが満ちてるので、豪快なアメリカンアスリートのメジャーリーガー役としては、少し線が細く感じる。
ベニチオ・デル・トロも出てるのに、イマイチデルトロらしさが出せないまま。
やっぱりデニーロの独壇場と言わざるを得ない。
2023年現在、日本人にとって大谷翔平が「清く正しいスーパーメジャーリーガー」なので、ヘタすると、大谷の為にここまで妄想する「俺が大谷をここまで推し上げた」と思い込むファンがいてもおかしくないんじゃないか?とか、考えなくもない。
しかしいかんせん、後半の収束具合が「時間が足りない感」よ。
前半の主人公の溜め込みの伏線からの爆発力が足りない感じが否めない。
折角「暴走したらヤバいキャラならこの人」というキャスティングでのパワーの圧縮が上手くいってたのに、暴走してからの駆け足気味な展開で尻すぼみになってしまったのが残念。
まぁそれでも
野球選手のストーカーという設定だから、単なる有名人の脅迫事件というより、クライマックスを野球の試合に絡んだストーリー展開にしたかったのだろうな。
推し選手から「ファンのおかげ」という一言さえ聞ければ、俺は生きた甲斐がある、というその一点に固執するという心理を描きたかった、というのは分かる。
でも
そのために最後の感動ムードの歌と音楽を流すのは、やっぱり蛇足だった気がする。