病んでいるのは周りか、自分か。
山奥の元お城である療養所のゴシック感と、隔離病棟という1900年代初頭のベドラム感。
舞台設定が良いだけ期待値が上がってしまう。
夢の中のようなグレーがかった乳白色、
観る側にも「病んでいる自分」を意識させ、水が毒にも薬にもなるように、現代人の野心をも薬とする浄化法にウナギを持ってくる、その奇怪さ!
魚の様相から遠くヘビのように動く、"ぬめり感"も含めて五感に届く気持ち悪さが、最高に良い。
なのに後半の、療養所スタッフがランプを持って並ぶ儀式の盛り過ぎ感に、ロックハートと同じく中途半端な洗脳から(気持ちが)冷めてしまった。
純血至上主義と外界、ハンナとロックハートの交流を掘り下げてれば、もっと感情移入できたかも。