ちゃんとしたレビューは前後篇見終わってからしようと思っているので、まずは前編鑑賞直後の素直な感想です。
多少の予備知識だけあって、なんで今、寺山修司なんだろ?とか、2021年近未来の新宿を舞台にしたボクシング映画ってどうなんだ?なんて事を思いながら、全く期待せずに見に行った。
見始めてからしばらくはあまりに昭和な舞台設定とストーリー展開に距離を保って見ていたけど、そのうちにここに描かれているのは1966年の昭和の風景でもなく、2021年の近未来でもない、今の日本を切り取ったものなんだって感じられた瞬間からグッと物語の中に引きずり込まれていった。
新次と健二、そして芳子。
それぞれが親に対する消化しきれない過去を抱え、孤独に生きてきた3人。
彼らが新宿の街で出会い、共鳴しつつも舐めあう事なく生きていく姿。自らの境遇を嘆くことなく逞しく生きていく姿。
憎しみと復讐。友情と絆。愛とSEX
キラキラしてもないし、甘酸っぱくもない。ザラザラしていて突き刺さってくるような彼らの青春。いや「生きざま」かな。
とにかくスクリーンいっぱいに生命力が溢れていて、ただただ圧倒された。見終わった今でもストーリーがどうとか感想なんかがすぐに出てこない。
こういう体験は本当に久しぶり。
上映終了後、後編の予告が流れてきたんだけど、これまた前編を確実に上回りそうな予感漂うもので「新次と健二の深いところで繋がっているからこそ拳を交え闘うようになる」シーンや「芳子も加えた3人の主人公たちの親子の物語」だとか「実は避けられない運命に吸い寄せられていた3人」とか。盛りだくさんだったテーマが収束していきながら、彼らなりの決着のつけ方が見られそうで期待しかない。
という訳でレビューはあらためて後編を見終えた後に。今はただこの余韻に浸っていたい…