Kevin

サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶のKevinのレビュー・感想・評価

2.9
幼少期に受けた虐待の体験記の著書を出版し、世間から注目を集めた作家スティーヴン(ジェームズ・フランコ)。
ところが、著書の中では死んだと記されていたスティーヴンの父親ニール(エド・ハリス)が彼の朗読会に姿を見せ、スティーヴンは大きな批判を浴びることに...。

“世の中をどう解釈するか 過去をどう記憶しているかで変わる 人は感情を正当化するため 記憶をすり替える”

アルカトラズの実態を描いた傑作【告発】で被告人の弁護にあたったクリスチャン・スレイターが本作では被告人を演じるという粋な演出。
...のは特に関係のない話だが彼を始め、エド・ハリス、アンバー・ハード、そして主演のジェームズ・フランコと俳優陣は豪華である。

家族の間に出来た深い溝を埋めることは容易ではない。
しかし“家族”という“繋がり”がある限り、その溝を渡ることは不可能ではない。
人間誰であっても、どんなに忌み嫌っていたとしても家族に勝る存在はないのだから。

これと言って魅力を感じるストーリーでもなかったが、誰にでも本作の扱っている“無意識の記憶の書き換え”はありうる事実だ。
自分自身では“書き換え後”の記憶が本当の記憶となっている為、他人が介さない限り到底気づけることではないが、あの頃の記憶というのは虚構の可能性も十分ある。

その自分にとって“都合の良い記憶”は当然そのままであってほしいはずだ。
しかし本作を鑑賞中、自分にも“都合の良い記憶”に思い当たる節があった。
自らで記憶を書き換えてしまったのか、それとも何も無い空っぽな空間に無理やり記憶として作り上げてしまったのか。
勿論それが本物の記憶であってほしいし、当時の事なんて今更知る由もない。知る気もない。
もしかしたら知るのが怖いだけなのかもしれない。
何故ならその記憶のままの方がドラマティックだから。

とまあ、そんなことを考えていたら決して面白い作品ではないけど観て得るものは確かにあった。

いつか今まで避けてきた身の回りのことをもっと詳しく訊いてみたい。

けどもやっぱり面白くはなかったかな。笑
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