背骨

関ヶ原の背骨のレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
4.5
相変わらずの原田眞人節だなぁと感じつつもさらに緻密にさらにスケールアップした今作に圧倒される。
膨大なセリフとカット、大河一本分を2時間半にギュウギュウに詰め込んだような映画。スクリーンに焼き付けられた情報量が半端じゃなく、能動的に観にいかないと脳内処理が間に合わずたちまち置いていかれる。

関ヶ原の戦いに予備知識があまりなかったり、原田眞人作品を観慣れてない人たちにはわからなくてもいいとばかりに完全に観客を突き放した強気な作り。原田眞人監督はそもそも観客にどう楽しんでもらうかより自分が作りたいものをそのまま観客へ突きつける監督だと前から感じていたが、今作における割り切りは凄い。よくこんな大作でそんな事が許されたものだと感心する。

とはいえ、さすがに感性・知識・テクニックを高いレベルで持ち合わせた監督だけあって撮り方は上手く、合戦シーンなどは時代考証と様式美を上手く融合させた素晴らしい出来。
また俳優陣が日本トップクラスで埋められてるとはいえ、監督の演出と役者の演技との理解し合っているかのような協働も素晴らしい。岡田三成、平左近、滝藤秀吉、役所家康、東出小早川秀秋なんかは今までの時代物と比較しても秀逸。
有村架純ちゃん凄く頑張っていたけどここだけはちょっとなぁ…彼女と三成のストーリー部分において、ここだけはキャスティング、シナリオともに少し惜しい感じがする。もっとうまく出来れば、三成の人物像に深みが出て、さらに素晴らしい映画に出来たかもしれない。

まぁ、いろいろ言ったけど凄い映画である事には違いなく、原田眞人監督の手腕にも感服したし、スタッフ・キャストの皆様にも拍手を送りたくなるような歴史大作でした。
背骨

背骨