アズマロルヴァケル

アイム・ノット・シリアルキラーのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

3.8
斜め上に行くにも程がある映画

家族一同で葬儀屋で働いているジョンは田舎町で起きる連続殺人事件に興味を抱き、次第にロブといういじめっ子ができ、なおかつ周囲からソシオパスと認識される。そんななか、怪しい男性を見掛け、見張っていると近隣に住むビルという老人と川へ釣りに行くそうでジョンもついていくと、その男性はビルをナイフで殺そうとしたもののビルに返り討ちにされて殺されるのでした。そしてビルはその男性の臓器を取り出すのでした。更に別の日、理髪店でビルを見掛けたので店の外でじっと見ていたのですが、ビルは人気のない瞬間を転機に店主を殺してしまう。ジョンは警報器で警官を呼んでビルを逮捕させようと思ったが警官はいとも簡単に殺されるのだった。連続殺人犯の正体は近所に住む老夫婦の夫であるビルだったのだ。

怖い。とにかく怖い。

松竹の宣伝が大袈裟で、そもそも狂気と狂気の対決なんかひとかけらもございません。殺人者予備軍があくまでも犯人を追うという執念とモンスターホラーじみたビルの並々ならぬ恐怖は最早いい映画でした。
というかジョンはソシオパスだけどそんなに悪そうな人間ではなかったけど食事中にロブと目を合わせたりパーティーでロブに殺害予告だと思わせた発言を考えると最初はなんてやつって皆思うんじゃ・・・?と思ってなりませんよ。それでもちょっとしか描かれていないのだが
ガールフレンドっぽいブルックと一定の距離を取って上手くやってたから色々と恋愛に発展するんじゃと心中思いました。

ビルに関してはビルの表の顔とビルじゃない顔が表裏一体となっている感じではあるものの、何処か全体的にビルの表の顔の方が描かれていたのでまあジョン視点が全面に押し出している構成だったので裏の顔は敢えて見せていない演出でした。

で、ラストなんだけどこれってサスペンススリラーなの?とジャンルがわからんような衝撃。むしろ映像は16mmのアナログなのにまさかデジタル?という意外さ!挙げ句にはビルの魂が遺言を言い残して自害するから驚きというか良くも悪くもサプライズといったほうがいいんじゃないのでしょうか?

殺人犯と戦うとはいえ、流石に母親やカウンセラーに打ち明けられないという展開は納得で感情移入出来ましたが、責めてしずかちゃん的存在のブルックとはどうなった描いてくれたらなぁと思ったけどエンドロール前に防腐剤を遺体に入れる機械をお洒落に使っていたので悪くなかったです。