幸村

ドリームの幸村のレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.3
ソ連との宇宙開発競争に勤しむ1960年代のアメリカ、NASAを舞台に、3人の黒人女性の活躍を描いた、最近は映画の1ジャンルとして確立した感のある『実話を基にしたストーリー』。映画自体はとても面白かったものの、意識低い系の自分には少しつらいところもあったり…。

上にも書いたように、映画自体はとてもよくできていて、終始明るい音楽と役者の演技もあり、テーマとしては中々重いものを扱っているにもかかわらず気負わずに見ることができるのがグッド。
また、描かれるテーマに関しても、職場で白人から人種差別を受けている主人公たちが、プライベートでは夫や恋人から「女なのにそんなに頑張ってどうするんだ」と性差別を受けるという2重の差別を描いていて、また、差別している側には特に悪気はない、というかむしろ善意で言ってるまであるというところは、この問題が簡単に解決できるものではないということを表していて上手いなあと思ったし、室長や宇宙飛行士のグレンさんの、最後は出自とかではなくその『人』自身を信頼するんだというところも非常に共感しました(仕事をしてると、この人にはついていきたくねえなみたいな人ってたまにいますよね…いや、これ以上はやめておこう)。

ただ、すこし心にグサッときたのは、最終的に彼女たちが認められたのは、やはり才能に加えてあれだけの努力をしたからであり、職場以外では一切仕事のことなんか考えたくないし、自己啓発ってなんだよぐらいに思っている自分としては、「明日から仕事頑張ろう!」ではなく「まあ俺はほどほどに頑張るか…」と思ったのでした。まあこの辺は個人差ということで…。

この映画はそもそも日本で公開するかどうかがなかなか決まらなかったり、いざ公開が決まったと思ったら少しおかしな邦題がついてお巡りさんが駆け付けたりといろいろあった映画だけど、公開してくれてよかったと思います。おススメ!
幸村

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