いつ観ても不思議な監督だ。
はっきり言って上手いとは全く思わない。
あの軽妙なトークも撮り方もタイミングも下手な部類だと思う。
もし映画の神さまがいるとしたら、彼は決して愛されてはいないように感じる。
でも、こうしてまた観てしまう。
ことさら彼の映画が好みだという訳でもないのに。
何故だろう。
答えは分からないけど、1つ感じることがある。
映画を観る時、普段はスクリーンの向こう側に作り手の姿を感じる。でも、タランティーノの場合、私のすぐ隣にその姿を感じる。
聞いてもいないのに、あーでもないこーでもないと能書きを言われながら観ているような感覚。
たぶんそれが楽しくて、
こうしてまた観てるんだろう。
「おい、ちょっと観てくれ。キューブリックのあれをパクってやったんだ。こっちの方がずっと面白いだろ?オマージュだなんて言うつもりはないぜ。」
「いやいやこれでパクったって言ったら、キューブリックに失礼な出来だろ…」
「何言ってるんだ。あいつの作品はこんなにかっこよく拳銃を構えてないだろ?」
「いや、よく恥ずかしげもなくそんなことが出来るなって、笑われてると思うよw」
「次はこのやり方で、もっとすげー作品を作るぜ。強盗だけじゃない。マフィアのボスの嫁やボクサーも出てきて、なんでもありな映画を作ろうと思うんだ。」
「なるほどそれは楽しみだ。早く観せてくれ。」
こんちくしょー。