見所は多くあれど，本作最大の名場面となると，冒頭の 8人の朝食シーンに尽きるだろう．日常的な他愛ない会話がそのまま名作のイントロとして機能すること，本作以前では思い浮かばない（もしあればご教示いただきたい）．後にタランティーノのシグネチャとなる時系列シャッフル（本作ではシンプルなフラッシュバック），鮮烈な血の海，事実上男性のみの骨っぽいキャスティングと主演級 4人のそれぞれ個性際立つ演技，アメリカンノスタルジーをかきたてる音楽，これらが一体となって 90年代の『勝手にしやがれ』とも言いうる，新しい波を生み出した記念碑作品で，低予算の準密室劇の中に若々しい野心とエネルギーがみなぎっている
