Tラモーン

トゥルー・グリットのTラモーンのレビュー・感想・評価

トゥルー・グリット(2010年製作の映画)
3.7
カッコよかった!
そして単なる勧善懲悪ではない独特のラストシーンがなんとも胸に残る作品だった。

マティ(ヘイリー・スタインフェルド)は牧場の使用人であったチェイニーに父親を殺され、馬と金貨を奪われた。父親の仇を討つべく、腕は立つが大酒飲みで元悪党の保安官コグバーン(ジェフ・ブリッジズ)を雇う。そこに以前からチェイニーを追っていたテキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、言い争いの絶えない奇妙な3人組の追跡劇が始まる。

ぼくにとって西部劇の1番の魅力を敢えて言語化すると「一期一会の関係性でありながら、お互いの信念に共感し、お互いに命を預け、ならず者同士が絶妙な距離感でお互いを信頼し、命懸けで戦う」ということになるのかな。今作は反目するちょい悪保安官とテキサスレンジャーがその関係性でありながら、2人の間に少女が挟まれることで心境の変化がとても自然に描かれていたし、単なる娯楽西部劇に収まらない深みを生み出していると感じた。

世間知らずの癖に口が達者で生意気ながら強い勇気と信念を持つ14歳の少女を演じたヘイリー・スタインフェルドはこれがデビュー作とは思えない演技だ。信念が強いあまり、ちょいと頭でっかちで大人を困らせる少女そのもの。

そのマティの勇気と信念の強さに触発され、誇りを取り戻すコグバーンと、自信を奮い立たせるラビーフの心の機微がとても丁寧に描かれる。

クライマックスの4対1の銃撃戦+超長距離狙撃シーンは胸熱!本当に手綱咥えて2丁拳銃やん!とテンション上がること間違いなし。

さらに胸を打つのがそのあと。マティを救うため夜通し走り続けるコグバーン。生意気なことを言われようとも、命を預け合った旅を通して2人の間に父娘にも似たような感情が芽生えていたことを丁寧に物語る。
例え長い人生のほんの一瞬であっても、そのあと疎遠になろうとも、お互いを信頼し濃密に人生を交わらせた相手のことは何があっても忘れることはないのでしょう。

主人公3人がそれぞれの形で"本当の勇気"を魅せてくれる素晴らしい作品だった。
Tラモーン

Tラモーン