ホランド「先輩、いかがでしたか？」
クルーズ「……」
ホランド「感想、どうですか？」
クルーズ「ま、内容的には悪くないけどさ。やっぱ色々気になるわけよ」
ホランド「えっ？」
クルーズ「もしかして二作続けて大ヒット飛ばしたからって、『次世代のスターは俺だ！』って調子乗ってない？」
ホランド「僕、そんなつもりは……」
クルーズ「ってかさ、ＣＭでも流れてた飛行機から落ちるシーンあるじゃん」
ホランド「えーと、クライマックスの」
クルーズ「あれ、絶対ＣＧ使ってるよね」
ホランド「は、はい……」
クルーズ「甘いんだよ！！」
ホランド「ええっ！？」
クルーズ「飛行機から飛び降りるんなら、パラシュートなし！ ＣＧなし！ スタントなし！」
ホランド「ええっ！？」
クルーズ「それくらいやんないと、ミッション・インポシブルじゃないんだよ！！」
ホランド「あの、これ、アンチャ……」
クルーズ「つべこべ言うな！ だいたい、お前、元バーテンって設定も気に入らねーんだよ。たった一人しか客いねーじゃん。俺だったら３人。いや５人は同時にカクテル作ってるよ！ わかる？ 俺の方が経験者なの！」
ホランド「すいません……」
クルーズ「あとディスコ行くシーンあるじゃん」
ホランド「あ、バルセロナでクラブに迷い込んじゃうとこですか」
クルーズ「あーん？ ディスコだろ、デ・ィ・ス・コ！ 俺だったら、ハゲヅラかぶって踊りまくるとか、ブリーフ一枚でジタバタ踊るくらいやるよ！？ 『僕、踊り下手なんだよねー』だぁ！？ 役者なめてんじゃねーっつーの！ こんなんでＮｏ．１トムの座を狙おうって、１０年早いんだよ！！」
ホランド「す、すいません……」
？？？「クルーズくん、それくらいにしておきたまえ」
ホランド「え？」
クルーズ「あ、ハンクスさん チーッス！」
ハンクス「キミ、ホランドくんだったかな？ キミのアクション、悪くないと思ったよ」
ホランド「ありがとうございます！」
ハンクス「ただ、キミはマゼランの隠された財宝を追っているようだが、それは間違っている」
ホランド「ええっ」
ハンクス「そんなものは価値がない。映画で追うべきは、バチカンの隠された陰謀。それに尽きるのだよ」
ホランド「そ、そうですかね」
ハンクス「しかも、せっかくバルセロナまで行ったのに、サグラダ・ファミリアの中でアクションしてないのは減点だな。この私、自慢じゃないけど、ルーブル美術館。二度言おう。あのルーブル美術館で撮影した経験もあるのでね……ふふっ」
クルーズ「俺はドバイのビルから飛び降りたぜ！」
ハンクス「……（無視して）。まぁ、謎解きは悪くなかったよ。私の、ルーブル美術館や、トルコを代表するアヤソフィアでの華麗なる謎解きには及ばないがね、ふふっ」
ホランド「はぁ」
ハンクス「もう一つ気になったのは、仲間に恵まれすぎているところかな。優しい兄。相棒で先輩のサリー、ヒロイン役の美女・クロエ。皆、いいヤツらじゃないか。私だったら孤独に苛まれた知能の低い足の不自由な少年という設定を演じきるがね」
ホランド「あなた幾つなんですか……」
ハンクス「ついでに言うと、私が無人島に漂流したのなら、キミみたいに美女と一緒、なんて甘い設定にはしないよ。私なら、孤独な顔芸だけで二時間は漂流のシーンを続けてられているところだがねゴホン」
ホランド「フィリピン、無人島でもないし、漂流もしてませんが……」
ハンクス「ゴホンゴホン。とにかく、色々な役で経験を積むことだよ。そういえば、この作品の感想が『むらむら』くんという人から届いておる。読んで差し上げよう」
ホランド「はい、ぜひ」
ハンクス「なになに……
『アンチャはＶＩＴＡのを含めて全５作クリア＆トロコンしてるので忠実な実写映画化には文句の付けようがないですわ。特にクライマックスから始まるとことか、都会のど真ん中にある地下空間とか、こんなんで分かるかよ、って地図の謎解きとかもう原作シリーズファンなら嬉ションなシーン満載。フィリピンの浜辺で出会うカメオ出演、吹替版で見てたので最高ー！ やべやべやべーって感じ。続編あるなら是非走る列車でのネイトの死闘を観たいとこ。でも、それやったらＮＷＨのＤｒ．ストレンジとかぶっちゃいますかね（笑）。とにかくノーティーは神！ ラスアスも最高！ ｂｙむらむら』
……私にはこれがバチカンの新たな暗号にしか思えないのだが、キミたちは意味が分かるかね」
クルーズ「意味わかんねーよ。このオタク、めっちゃ早口で言ってそう」
ホランド「なんとなく……分かりますよ。南の島のカメオ出演は、原作ファンから好評なんですよね」
ヴェノム「南の島でカメオ出演と言えば、俺にも声をかけてほしかったぜ」
ホランド「えっ！？ だ、誰？」
宮崎「海賊船が空中浮遊するクライマックスが良かったデース」
宮崎「欲を言うなら、大砲撃ったら『開国シテクダサーイ！』って言ってほしかったデース！」
ホランド「さらに誰！？ しかもお前何語で喋ってんのよ！」
下條ア「……てな訳で、『スペインとフィリピン、５０億ドルのマゼランの財宝に～トム・ホランドがぁ～出会ったぁ～』の感想、これにておしまいでございます」
ヴェノム「おっ、『ウルルン滞在記』か。懐かしいねぇ」
ホランド「なんでそんなの知ってんの！ お前人間じゃないやろ！」
（トムバースの収集つかなくなってきたので、おしまい）
