こたつむり

RANMARU 神の舌を持つ男のこたつむりのレビュー・感想・評価

RANMARU 神の舌を持つ男(2016年製作の映画)
3.4
♪ 耳たぶって不思議 なめてみたくなる
  ペロリペロリ 奥の方までペロリ

駄作だ、愚作だと悪評ばかりの本作。
それは違います。この作品は“奇跡”なんです。何しろ、視聴率が3%を記録したテレビドラマを映画化するなんて、普通に考えれば無謀、無策、無鉄砲。それを実行したのですからね。

しかも、映画化に際して姿勢を改めたかというと…そんなことはなく。寧ろ、俗人を振り落とすがごとく、ディープでマニアックな部分を極める始末。いやぁ、この遊び心は見事な限り。これぞ、風流ですな。

それにアカデミックな部分もあるのですよ。
土木的な観点で描かれた枠組は、ある意味で斬新ですし、環境問題かつ政治問題の“ある事象”についても踏み込んでいました。かなり攻めていますね。

ただ、映画との相性は悪かったのは事実。
正直なところ、理解に及ぶ前にスルッと流さないと混乱すると思います。常日頃から“考えること”に親しんでいれば話は別ですが。

あと、堤監督の演出も自由奔放すぎました。
一言でまとめるならば“カオス”。笑いはデリケートな事象なのに、知識を求められるネタと瞬発力重視の演出が渾然一体となれば…楽しむ前に満腹中枢が働くのも当然ですね。

でも、今の邦画界に必要なのは熱意。
口当たりの良い演出で終わらせず「これが面白いんだ」という覚悟が大切なのです。きっと、本作は未来永劫まで語られることでしょう。良い意味でも、悪い意味でも。

まあ、そんなわけで。
ニッチな層に向けた物語ゆえに安易にオススメできない作品。本作を楽しむためには、2時間サスペンスドラマに慣れ親しんでおくことが必須です。

それと冒頭であらすじを語られますが、テレビシリーズをすべて鑑賞して相性判断するのも大切ですね。勿論、そのテレビシリーズの方が面白かった…という事実を許容することも重要。

つまり、人の幅が試される物語なのでしょう。
そう考えると、本作でケタケタと笑っていた愚息は大物なのかも。それとも、ギャグセンスやホラーテイストが小学生向けだった…とか。あー。そっちかもなあ。
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