「ハンニバル」の続編のようなタイトルが関心を煽り立て、鑑賞前から負けた気分。蓋を開けてみるとレクター博士のようなシリアル・キラーの姿はなく、膵臓を蝕むサイレントキラーが少女の中に。
「透き通るほど真っ直ぐに」と主題歌のミスチルが歌うように、透明感溢れる浜辺美波が心を掴んで離さない。
北村匠海扮する「僕」を通して、いたずら好きで無邪気な天使に振り回される。もう、お気に召すまま転がしておくれ、という気分。
しかし限りある時間は残酷だ。突然ふわりと現れて、好きになったら消えちゃう妖精のようで、「僕」が可哀想。
「今日は両親がいないの」と、僕を自宅に招いて言っていたが、病気の娘を置いて親はどこ行ったんだ?
余命わずかなのに誰にもバレずに学校に行けるのか?
そんな疑問も、彼女のズルさやあざとさも、全部吹き飛ばす浜辺美波の破壊力。
もうすぐ死ぬ…
私が死んだなら…
桜良は、やたらと「死」を口にする。それが悲しみへの予防接種乱れ打ちとなり、免疫がついた気になっていたが、桜良の母に会う場面で涙腺が崩壊した。匠海君の演技に泣かされてしまった。
猫になってフラッと現れてほしい。
主人公「僕」の名前が終盤まで明かされず、綴られた名前によって特別な存在だった事を知らされ、じんときた。
※名前のネタバレ↓です。
秘密を共有した春樹と桜良。桜がないと春の樹木は寂しげで、樹木がないと咲けない桜。そんな2人を包むパステルカラーの色彩が美しかった。