Kamiyo

女神の見えざる手のKamiyoのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.2
2017年 ”女神の見えざる手” 監督ジョン・マッデン
ラストで ”敵を欺くにはまず味方から”という諺がキーワードかな
素晴らしい脚本。ジョナサン・ペレラは独学で脚本を学び、
これがデビュー作というから驚く。
ジョン・マッデンは、イギリスのテレビドラマ
”警部モ-ス”の制作している、納得です
NHKBSで放送していたので、毎週見て、サスペンスとしては最高だ

ワシントンの大手ロビー会社で働く天才的な戦略でロビー活動を仕掛けるエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、花形ロビイストとして辣腕をふるう。
緻密な戦略と妥協のない行動で高く評価されていましたが z
ある時銃規制法案をつぶしたい強大な団体からの法案成立を阻止する依頼を断ったため、会社を首になってしまた ミス・スローンは数人の部下を引き連れ、規制法案成立を画策する小さなロビー会社に移り大胆なロビー活動を開始します…。

ミス・スローンのふるまいから目が離せないし、一言たりとも聴き洩らせない。徹頭徹尾、鷲掴みにされる。勝つか負けるか、次の仕掛けは何か、切り札は何か。私たちは取り巻く人々と共に、巻き起こす渦に翻弄される。

部下であるエスメ(ググ・バサ=ロー)の過去を世間に知らしめ、チームの武器として利用した
エスメの隠したい過去は現実味を帯びた市民の言葉として強い印象を持つ反面、彼女のその手法に批判を集中させる
だが、エスメが今このチームにいる動機は、スローンが為そうとしているチャレンジそのものであり、前のコール・カルビッツ&Wに残したジェーン(アリソン.ビル)に対する教育でもあった

クッキーとケーキの税法上の違いを語るシーンがある。名前はケーキでも成分がクッキーなら非課税になる。どこかで線が引かれて運用される制度の、ある種の滑稽さ。政治とは妥協するための技術だから、なにごとも法律や制度によって線が引かれる。
相手が切り札を切ってから自分の札を出す
ミス.スロ-ンが見事なのは別の宝刀を最後の最後に見せた点。それは袂を分かちあったかつての右腕だったジェーンが敵の情報をリークするためのスパイとして居残っていたこと。
ジェーンが切り札として探し出した一枚の書類も実は事前にミス.スロ-ンがサインをしてわざと見つけさせていたのであった。
ミス・スローンにも、法や制度をあえて乗り越えてでも、成し遂げたい信念があった。彼女の部下の中には、裏切りを演じたりプライベートを暴露されたりして、彼女の道具となる者がいたが、彼らにも、信念を共有することで達成できる思いがあった。
5年後のスローンが誰かと目を合わせたところで終わる。彼女を迎えに来たのは、弁護士か、エスコートの男か、部下の誰かか。彼女の視線の先に見えたのは、人間であるために一番大事な、他者との共感であると信じたい

本作は、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にノミネートされただけで他の映画賞、とりわけ多くの表彰部門があるアカデミー賞にはノミネートすら一つもされていません。
ハリウッドが抱える政治的な問題が作用しているのではないかと推察します。「セレブな白人女性が黒人の部下を利用して画策する」「銃規制反対のライフル協会?が一介の女性ロビイストに負ける」というトランプ派、反トランプ派の両方から睨まれた結果なのかな

全米ライフル協会NRAを、コケにしたら、賞とれないのは仕方がない。
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